2026.10.03

日々のこと

うちのトルソー、クララちゃんの話。

「なんでこんな汚れたトルソー使ってるんやろ?って思ってました(笑)」

先日お客様から衝撃の告白をされました。
たしかにクララちゃん、きれいではありません。
なんせ120年ほど前のフランス生まれです。
アンティークのトルソー、それは私がハンドメイド作家の時代から長年探し続け、憧れていた存在だったのです。
トルソーとの出会いをお客様にお伝えしたところ、絶対ブログに書いたほうがいい!と熱く推されたので、記事にすることにしました。

私が箕面に路面店を構えていたころ。
この大きな窓ガラスのところにアンティークのトルソーを置いたら素敵だろうな・・・
そう思ってトルソー探しをはじめました。
関西にはアンティークを扱うお店がたくさんあります。
なのでいろいろなショップに問い合わせをして何度か足を運んでいました。
しかし、なかなかこれというトルソーに出会わなかったです。
タイミングもありますので、半ばあきらめていたんですが、なんとなくふらっと立ち寄ったショップの片隅に10体ほどのトルソーがいてました。

おや?と思ってまじまじ見るも、やっぱりなんとなく違う。
アンティークのトルソーはそもそも古いものなのでシミや虫食い、謎の黒い点々などいろいろな模様が入ってます。
その位置や模様の入り方、トルソーの体形がなかなかピンとくるものに出会わない。
子供??っていうくらい小柄なトルソーだったりやたらと豊満なトルソーだったり、猫足がわざとらしかったり・・・

もうすでになん十点ものトルソーを見ていたことや、なかなか出会わないんですよね~っていう話をショップのお姉さんに話したところ、まだ虫の処理がされていないトルソーが倉庫に2体あるんです。
よかったらご覧になりますか?
って。

そりゃ見るよね笑
二つ返事で、倉庫に向かいました。

倉庫の中はアンティーク特有のスメルがほわっと立ち込めており、思わず恐怖にあとずさりしてしまいましたが笑、そこにいてたんです。
大きな窓ガラスのところに、2体のトルソー。
そのうちの一体を見たときに、雷に打たれたことはないけど、おそらくこういうことか?という衝撃に、思わずクララ・・・とつぶやくと、ショップのお姉さんは大きくうなずきながら
「出会いましたね・・・」
と。

そばに夫もいてたんですが、クララ・・・とつぶやいた瞬間、でーっかいため息つきやがってましたね。

導かれるようにクララに近づくと、そのプロポーション、布の汚れ具合、シミの位置、虫食いの場所、脚のフォルム、どこをとっても完璧・・・

クララがどれほど素晴らしいかをショップのお姉さんに力説し、あたたかなまなざしでクララを見つめながら何度もうなずくお姉さん。
即決でした。

ゴミ捨て場から拾ってきたようなもんが20万・・・
と言った夫の目は死んでましたが、私はもう、クララに導かれたので、連れて帰る以外の選択肢ないですからな。

無事に虫の処理がなされたクララが後日お店に到着し、クララのもつ優しく包み込むような大きな光がお店を照らし、うちにきてくれてありがとう!!と心から思いました。

お店のスタッフにもお客様にも、素敵ね!!と絶賛され、クララは人気者になりました。

その後お店を閉めることになり、アンティークの大きな什器はすべて売却し手放しましたが、クララは自宅のアトリエに連れて帰りました。

アトリエ内は日が入らず、壁もほかの部屋のように漆喰でぬっていないので、とても暗いんですよね。
夜帰宅すると、真っ暗な部屋にクララがぼんやり浮かび上がって恐怖に心臓がひゅってなるんですがね。
それでも、大切なクララです笑

私は昔から古いものに惹かれます。
なぜかわかりませんが、古いものがもつ特有の空気感が好きです。
今古い宝石を加工しているのも、そういう昔から好きなことがそのまま仕事になっているのかもしれません。
お客様がお持ち込みになる宝石を見ると、クララに出会った時のように導かれたような感覚になります。

なんでこんな汚れたトルソーつかってるんやろ?
って思ってる人もいると思うよ!トルソーのエピソード、面白いから記事にしてね!

って言ってくださったお客様。
私の中ではいたって普通のことだけれど、はたから見たらそうじゃないこともありますね笑
今回記事にしてみて、改めて、あの楽しかったお店のころを思い出し、じんわりと心が温かくなりました。

今後、どのような形態でお店をやっていくのかまだわかりませんが、クララは、光がたくさん差し込む窓際にいてるイメージが強烈に残っていますし、私も今の暗いアトリエじゃなくて、明るい場所で仕事したいので、そろそろ壁に漆喰塗ってもらおうかな~とか思ってます。

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